膜天井とは
特定天井が定められた背景
2011年に発生した東日本大震災では、体育館、商業施設、劇場などの大空間を有する建築物の天井について、脱落する被害が多く見られました。
本来、避難場所として使用する予定であった施設でも天井が落下してしまったため、使用出来ない、又は不安であるが使用やむなしとの判断をし、使用せざるを得ない状況となりました。上記より天井の安全対策として、「特定天井及び特定天井の構造耐力上安全な構造方法を定める法規(告示771号)」を、2013年8月5日公布、2014年4月1日から施行されました。
膜天井の特徴
膜天井専用の金物を使用しますので天井面構成部材の質量が2㎏/㎡以下に収まります。
膜天井専用の金物は軽量で高い剛性のため膜部に張力を入れることができサグ(たわみ)の少ない膜天井が可能です。
吊り材・膜材との接合は簡単で施工性に大変優れています。
軽い・柔らかい
膜天井の最大の魅力はその軽さです。
素材が薄く天井面構成部材の質量が2㎏/㎡以下に収まります。万が一落下しても室内にいる人々や物品に与える衝撃を減らすことが出来ます。
また、柔らかい素材なので変形や衝撃に強く、地震時に大きな揺れが来た場合でも揺れを吸収し安全性保つことが出来ます。
強くて丈夫
膜天井は薄くて軽いのが最大の特徴ですが、とても丈夫な素材でできています。
落下物を一時的に受け止められるほどの強度があるので、避難するための時間を稼ぐことも出来ます。
明るい
膜の特徴である反射性能により、窓からの光や照明の光などを反射させ拡散し室内を明るくすることが出来ます。
湿気に強い
天井落下の一つの原因として、湿気があります。
屋外で使用している材料を使用することにより、気密性を高めることが出来るので、湿気による被害を抑えることが出来ます。
特定天井の定義
膜天井用膜材料
膜材名 | スペックⅠ-A | スペックⅠ-B | スペックⅡ-A | スペックⅡ-B | スペックⅢ | スペックⅣ |
膜材仕様 | ガラス繊維布×PTFEコーティング | ガラス繊維布 ×ウレタンコーティング | ガラス繊維布 ×PVCコーティング | PVCコーティング ポリエステル織物 | ポリエステル繊維布 ×PVCコーティング | |
取得認定 | 不燃材 | 防炎認定品 | ||||
用途 | エントランスホール・体育館等の吸音性能が必要な場所 | プール等の気密性が 必要な場所 | エントランスホール・体育館等の吸音性能が必要な場所 | 多種多様 | エントランスホール・体育館等の吸音性能が必要な場所 | 多種多様 |
質量(g/㎡) | 470 | 600 | 390 | 570 | 600 | 560 |
厚さ(㎜) | 0.37 | 0.4 | 0.35 | 0.4 | 0.8 | 0.47 |
透光率(%) | 22 | 18 | 32 | 6.3(白) | 10.5(白/ベージュ) | 10(白) |
吸音性能 残響時間 |
(NRC値)0.6 | (NRC値)0.1 | (NRC値)0.7 | (NRC値)0.12 | (NRC値)0.68 | (NRC値)0.1 |
耐候性 (耐久性) |
20年以上 | 10年以上 | ||||
色 | 白色 | 8色 | 2色 | 22色 |
使用用途
- エントランスホール・体育館などの吸音性能が必要な場所。
- 湿気・塩素に強いのでプールなどの気密性が必要な場所などに最適です。
- 既存天井を撤去できない場所には、フェイルセーフ機能を有した膜天井を使用します。
形状
平面
切妻
寄棟
円弧